2010年01月28日

<著者インタビュー>金原ひとみ「アイデンティティーをそぎ落とされ、少女はやがて女になっていく」(毎日新聞)

 デビュー作「蛇にピアス」で芥川賞を受賞してから6年。金原ひとみさんの新刊「TRIP TRAP」(角川書店)は、旅の中で織り成される男女の交情を描いた短編集だ。友人と2人で旅立った沼津、結婚して夫婦で訪れたパリ、子育てのさなか逃げるようにたどり着いた湘南。少女から大人に、そして母になっていく女性の姿を、男性との交わりを通し、鋭いタッチで描き出している。金原さんに話を聞いた。

−− リズミカルなタイトルですね。

 最初に「TRIP」と思いつきました。「TRIP」には「旅」という意味と「ラリる」という意味や、「刺激的な体験」という意味もあるので、すごくしっくりきたんです。けれど「TRIP」だけだと軽さがないので、何か後に付けようと思っていたときに、英語で「TRIP TRAP」が、日本語でいう「カランコロン」のような擬音に使われると知り、その語感がとても気に入りました。「TRAP」だと「旅に潜むわな」という意味も出せるので。

−− 旅は「ラリる」ものですか。

 旅行中って、現実感がなくなって、夢の中にいるような感じがしませんか。日常生活から切り離され、普段と違う視点を持つ浮遊感が。(旅をテーマにとったのは)旅をしていると、普段は現れない人格や行動が、偶発的に出てくるということがよくあると思います。そういう多面的な部分や、旅をして人が変わっていく姿、旅の中で起こる人間の対立や和解などにひかれました。

−− 前半に収められた短編「女の過程」や「沼津」には、「マユ」という主人公が登場します。しかし後半の数編では、主人公の名前が出てきません。

 自分が個人的なものでなくなっていく過程を表したつもりです。大人になるにつれ、自分が誰であるというアイデンティティーが、少しずつそぎ落とされていく過程があると思います。社会に出ることで、自分の名前や、自分はこういう職業であるとか、そういったものが肩書にしかならなくなっていく。個人的なものだった自分が、公共的なものになっていく中で、センシティブな側面をそぎ落とされてしまう。あらゆるアイデンティティー・クライシスを経て、女から人になっていくという、そういうところを意識して書きました。

−− 全編を通し、女性の主人公の同性に向ける視線の厳しさが印象的です。

 よく言われます(笑い)。女性は、ほかの女性をどうしても同一化して見ますよね。人によるのでしょうけれど、ある程度共通の認識として「あんた私の考えてること分かるよね?」みたいな視線のやり取りとか、そういうのは日常的にあると思います。自分ととても近しい存在だと思ってほかの女性を見ているので、そういう面で、自己批判に近いしんらつな視点を持って書いてしまうのだと思います。男性を書くときは、異物として、外部として書くので、相手を尊重した書き方ができるのですが。

−− 後半の短編「フリウリ」「夏旅」では主人公が母になり、母と子、妻と夫という家族の側面が描かれています。金原さんはデビュー以来「家族を描きたい」と意欲を見せていましたが。

 自分が実生活で母という立場を得たことで、一つの視点を得たということはあると思います。娘側からの視点では描けなかった家族というテーマが、母側になったことで、許容できるようになった気がします。

−− 旅先で赤ちゃんの世話にほんろうされる様子など、実生活での育児の苦労が、作中ににじんで見えますね。

 「蟹工船」ではありませんが、ああいう過酷な状況に置かれると、それを書かずにはいられないというのと、ちょっと近いのかもしれませんね。天性の母性を発揮して、(赤ちゃんが)かわいくてしょうがないという友人もいるのですが、私にとって赤ちゃん時代の育児は地獄でした。最近はもう可愛くて仕方ないという感じになっていますが。

−− 「夏旅」では、母であり妻であり女である主人公の姿が、湘南への旅を通して、多面的に描かれています。

 「夏旅」で書きたかったのは、子どもといるときの自分、仕事をしてるときの自分、だんなといるときの自分、一人でいるときの自分、とどんどん細分化していって、いろいろな側面を持ち合わせつつ、それぞれの人格を確立していくという過程でした。すごく多面的であり、そのどれもがすごく偽物のような印象を与えるという、そういう女性の一つの姿ですね。

−− 今後の執筆のテーマは。

 最近連載を始めたのですが、そちらは家族をテーマに、母親というものをドライな視点で書いていきたいと思っています。デビューするまでも、してからも、小説内にほとんど家族を介入させてきませんでした。「TRIP TRAP」には少し家族が出てきますが、これまで家族そのものについての言及をしてきませんでした。家族を書けるだけの家族に対する客観性を持っていなかったというのが、苦手意識になっていたと思いますが、少しずつ機が熟してきたのかなと思います。

−− 読者に一言

 09年に短編集を2冊出して、一つの「短編期」が終わったかなと思います。ちょうど長編へシフト変更しているところなので、そのあたりの変化も含め、読んでいただければうれしいです。

プロフィル

金原ひとみ(かねはら・ひとみ)

1983年、東京都生まれ。04年「蛇にピアス」(集英社)で芥川賞受賞。ほかに「アッシュベイビー」(同)「ハイドラ」(新潮社)「憂鬱たち」(文芸春秋)などがある。

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posted by イシザワ カズヒコ at 11:44| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月26日

春、駆け足で 国公立大、2次試験の願書受け付け開始(河北新報)

 国公立大2次試験の願書受け付けが25日、各大学で始まった。受験生は、16、17日に行われた大学入試センター試験の結果を基に受験する大学を選び、出願する。締め切りは2月3日。

 文部科学省の集計によると、出願を受け付けるのは国立82校、公立73校で、募集人員は計約10万人。

 宮城県内では東北大、宮城教育大、宮城大の3校で受け付けを開始した。仙台市青葉区の東北大入試センターでは午前10時前、郵送で願書12通が届いた。職員は学部、前期・後期別に願書を仕分けして開封。書類に記載漏れなどがないか一通一通確認し、受験番号を割り振った。

 センター試験の結果によって門前払いする「二段階選抜」を予定しているのは、東北大の全学部など国立大38校の119学部と、福島県立医科大医学部など公立17校の41学部。

 2次試験は前期日程が2月25日から、後期日程が3月12日以降。一部公立大の中期日程は3月8日以降に行われる。

 新型インフルエンザに感染した受験生の受験機会を確保するため、今年は国公立大の大半が、2次試験の追試験を実施する。


小沢氏政治資金問題 首相「自分に説明責任ない」(産経新聞)
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外国人参政権「断固反対」 石破氏が表明 自民党大会(産経新聞)
posted by イシザワ カズヒコ at 17:25| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

<豊浦町長選>新人と現職が届け出 北海道(毎日新聞)

 任期満了に伴う北海道豊浦町長選が19日告示され、新人で元町議会副議長の石沢清司氏(60)=無所属=と現職で3選を目指す工藤国夫氏(65)=同=が立候補を届け出た。2人の一騎打ちとなる見込みで、過去2回は工藤氏が無投票当選をしており、選挙戦は12年ぶり。投票は24日で即日開票される。【新庄順一】

火災 飲食店など13棟焼ける 1人けが 東京(毎日新聞)
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posted by イシザワ カズヒコ at 03:33| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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